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OSHW/translations/ja: Difference between revisions

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翻訳:小林
翻訳:小林 茂([http://twitter.com/#!/kotobuki @kotobuki]) 桑田喜隆([http://twitter.com/#!/morecat_lab @morecat_lab]) 小林 英男([http://twitter.com/#!/NetSynth @NetSynth]) 金本 茂([http://twitter.com/#!/ssci @ssci]) @weed_7777 中田 宗文([http://twitter.com/#!/munef @munef])


※この翻訳は現在作業中です。作業が完了するまでメディアへの掲載や他への転載等は行わないでください。
== オープンソース・ハードウェア(OSHW)基準書1.0 ==


== オープンソースハードウェア(OSHW)基準書1.0 ==
オープンソース・ハードウェアは設計図が公開されたハードウェアであり、その設計図やそれに基づくハードウェアを誰もが学び、改変し、頒布し、製造し、そして販売できる。オープンソース・ハードウェアの元となる設計図は、変更を加えるのに適したファイル形式で入手することができる。理想的には、オープンソース・ハードウェアは、万人が作って利用する可能性を最大限にするため、容易に入手できる部品と材料、標準的な加工方法、オープンな基盤、制約のないコンテンツ、そしてオープンソースの設計ツールを使用することが望ましい。オープンソース・ハードウェアは、設計図のオープンな交換による知識の共有と商品化を奨励すると同時に、テクノロジーを統御する自由を人々に与える。


Open Source Hardware (OSHW) Statement of Principles 1.0
== オープンソース・ハードウェア(OSHW)の定義1.0 ==


Open source hardware is hardware whose design is made publicly available so that anyone can study, modify, distribute, make, and sell the design or hardware based on that design. The hardware's source, the design from which it is made, is available in the preferred format for making modifications to it. Ideally, open source hardware uses readily-available components and materials, standard processes, open infrastructure, unrestricted content, and open-source design tools to maximize the ability of individuals to make and use hardware. Open source hardware gives people the freedom to control their technology while sharing knowledge and encouraging commerce through the open exchange of designs.
''OSHWのドラフト定義1.0はオープンソース・ソフトウェアのための[http://opensource.org/docs/osd オープンソースの定義]と[http://freedomdefined.org/OSHW_older_drafts OSHWのドラフト定義0.5]に基づく。この定義は、Bruce PerensとDebianの開発者がDebianフリーソフトウェアガイドラインとして作った[http://www.opensource.org/docs/osd オープンソースの定義]から派生したものである。以下の定義に関する議論を開始したOpening Hardwareワークショップのビデオとドキュメントは[http://www.eyebeam.org/projects/Opening-hardware ここ]で入手可能である。''
 
''定義に関する話し合いには[http://openhardwaresummit.org/forum ここ]で参加してほしい。''
オープンソースハードウェアは、その設計図やそれに基づくハードウェアを誰でも学び、改変し、配布し、製造し、販売できるよう、設計図が公的に入手可能なハードウェアである。ハードウェアのソースである設計図は、変更を加えることができるよう、望ましいフォーマットで入手できる。理想的には、オープンソースハードウェアは、個人がハードウェアを作って利用する可能性を最大限にするため、いつでも入手できる部品と素材、標準的なプロセス、オープンなインフラ、自由なコンテンツ、オープンソースの設計ツールを利用する。オープンソースハードウェアは、知識を共有し、設計図のオープンな交換を通じた交流を促進しながら、テクノロジーをコントロールする自由を人々に与える。
 
リライト案:
 
オープンソースハードウェアは、その設計図やそれに基づくハードウェアを誰でも学び、改変し、配布し、製造し、そして販売できるよう、設計図が公開されたハードウェアである。そのハードウェアの元となる設計図は、変更を加えることができるよう、推奨されたフォーマットで入手できる。理想的には、オープンソースハードウェアは、万人が作って利用する可能性を最大限にするため、容易に入手できる部品と材料、標準的な工法、オープンな基盤、無制限のコンテンツ、そしてオープンソースの設計ツールを使用する。オープンソースハードウェアは、設計図のオープンな交換を通じた知識の共有と商業化を奨励し、テクノロジーを制御する自由を人々に与える。 --Genie@NetSynth
 
== オープンソースハードウェア(OSHW)の定義1.0 ==
 
Open Source Hardware (OSHW) Definition 1.0
 
''OSHW Draft Definition 1.0 is based on the [http://opensource.org/docs/osd Open Source Definition] for Open Source Software and [http://freedomdefined.org/OSHW_older_drafts draft OSHW definition 0.5]. The definition is derived from the [http://www.opensource.org/docs/osd Open Source Definition], which was created by Bruce Perens and the Debian developers as the Debian Free Software Guidelines. Videos and Documentation of the Opening Hardware workshop which kicked off the below definition are available [http://www.eyebeam.org/projects/Opening-hardware here].''
''Please join the conversation about the definition [http://openhardwaresummit.org/forum here]''
 
''OSHWのドラフト定義1.0はオープンソースソフトウェアのための[http://opensource.org/docs/osd オープンソースの定義]と[http://freedomdefined.org/OSHW_older_drafts OSHWのドラフト定義0.5]に基づく。この定義は、Bruce PerensとDebianの開発者がDebianフリーソフトウェアガイドラインとして作った[http://www.opensource.org/docs/osd オープンソースの定義]から派生したものである。以下の定義のキックオフを行ったOpening Hardwareワークショップのビデオとドキュメントは[http://www.eyebeam.org/projects/Opening-hardware ここ]で入手可能である。''
''定義に関する話し合いは[http://openhardwaresummit.org/forum ここ]で参加してほしい。''


'''導入'''
'''導入'''


Introduction
オープンソース・ハードウェア(OSHW)は、誰もが作り、変更を加え、頒布し、利用できるように一般に対して設計図が公開されている、手に触れることのできる人工物——機械、装置またはその他の実体のあるもの——を表す語である。この定義は、オープンソース・ハードウェア用ライセンスの開発と評価のためのガイドラインを提供する助けになることを目的としている。
 
Open Source Hardware (OSHW) is a term for tangible artifacts -- machines, devices, or other physical things -- whose design has been released to the public in such a way that anyone can make, modify, distribute, and use those things. This definition is intended to help provide guidelines for the development and evaluation of licenses for Open Source Hardware.
 
オープンソースハードウェア(OSHW)は、誰もが作り、変更を加え、配布し、利用できるように一般に設計図が公開された、手に触れることのできる人工物—機械、装置またはその他の物理的なもの—を表す語である。この定義は、オープンソースハードウェア用ライセンスの開発と評価のためのガイドラインを提供する助けになることを目的としている。
 
: 「has been released to the public」→「一般に対して公開されている」 「対して」が欲しいです。「一般に」だと「generally」と勘違いされる事もあり。 --@ssci
 
It is important to note that hardware is different from software in that physical resources must always be committed for the creation of physical goods. Accordingly, persons or companies producing items ("products") under an OSHW license have an obligation not to imply that such products are manufactured, sold, warrantied, or otherwise sanctioned by the original designer and also not to make use of any trademarks owned by the original designer.
 
物理的なものの構築には必ず物理的なリソースが関係するという意味において、ハードウェアはソフトウェアとは異なるということ注意しておくことが重要だ。それ故に、OSHWライセンスに基づいてもの("製品")を生産する個人や会社には、そうした製品がオリジナルの設計者に認可を受けて製造、販売、保証されているとほのめかさない、そして、オリジナルの設計者が保持する登録商標を使用しないようにする責任がある。
 
: 直接書いちゃってすみません。sanctionedは、manufactured, sold, warrantiedにかかる'''のではなく'''、それらと並列だと思います。「オリジナルの設計者によって製造、販売、保証、あるいは認可されていると…」--@ssci
: have an obligationは「責任がある」だと少し軽い気がします。また、日本語の「責任」は曖昧です。「義務がある」とするか、「~してはならない」とするか。--@ssci
: own/保持する→所有する、trademarks/登録商標→商標 --@ssci


The distribution terms of Open Source Hardware must comply with the following criteria:
実体のあるものの構築には必ず実体のあるリソースが関係するという点においてハードウェアはソフトウェアとは異なる、ということに注意しなくてはならない。それ故に、OSHWライセンスに基づいて製作物("製品")を生産する個人や会社には、そうした製品がオリジナルの設計者によって製造、販売、保証あるいは認可されていると示唆するようなことを表示しない義務があり、さらに、オリジナルの設計者が所有する商標を使用しないようにする義務がある。


オープンソースハードウェアの配布条件は以下の基準に従わなければならない:
オープンソース・ハードウェアの頒布条件(以下「ライセンス」と記す)は以下の基準に従わなければならない:


'''1. ドキュメンテーション'''
'''1. ドキュメンテーション'''


1. Documentation
ハードウェアは、設計ファイルを含んだドキュメンテーションと共に公開されていなければならず、設計ファイルの改変と頒布を認めなければならない。ドキュメンテーションが物理的な製品に付属していない場合には、妥当な再生産費未満でドキュメンテーションを入手できる公によく知られている手段がなければならない。インターネットからの課金なしのダウンロードが望ましい。ドキュメンテーションは、例えばCADソフトにとって最も自然なファイル形式のように、変更を加えるのに望ましい形式での設計ファイルを含んでいなければならない。コンパイル済みのコンピュータプログラムのような中間形式——例えばCADソフトが生成した、銅箔のアートワークの印刷用データ——は代替品としては認められない。ライセンスは、設計ファイルが、その仕様が完全に文書化されたオープンなファイル形式で提供されることを要求してもかまわない。
 
The hardware must be released with documentation including design files, and must allow modification and distribution of the design files. Where documentation is not furnished with the physical product, there must be a well-publicized means of obtaining this documentation for no more than a reasonable reproduction cost, preferably downloading via the Internet without charge. The documentation must include design files in the preferred format for making changes, for example the native file format of a CAD program. Deliberately obfuscated design files are not allowed. Intermediate forms analogous to compiled computer code -- such as printer-ready copper artwork from a CAD program -- are not allowed as substitutes. The license may require that the design files are provided in fully-documented, open format(s).
 
ハードウェアは、設計ファイルを含むドキュメンテーションと共に公開されていなければならず、設計ファイルの改変と配布を認めなければならない。ドキュメンテーションが物理的な製品について提供されない場合には、妥当な再生産費未満でドキュメンテーションを入手できる公によく知られている手段がなければならない。インターネットからの課金なしのダウンロードが望ましい。ドキュメンテーションは、例えばCADソフトのネイティブフォーマットのように、変更を加えるのに望ましいフォーマットでの設計ファイルを含んでいなければならない。コンパイルされたコンピュータのコードに類似する中間型—例えばCADプログラムで生成したプリンターで印刷できる銅のアートワーク—は代替品としては認められない。ライセンスは、設計ファイルが完全にドキュメント化されたオープンなフォーマットで提供されるよう要請する。
 
: format/フォーマット→ファイル形式。日本語の「フォーマット」は曖昧なので。 --@ssci
: CADソフトのネイティブフォーマット→CADソフトにとって最も自然なファイル形式 --@ssci
: 「Intermediate forms analogous to compiled computer code」→「コンパイル済みのコンピュータプログラムのような中間形式」 --@ssci
: 「printer-ready copper artwork from a CAD program」→「CADソフトが生成した、銅箔のアートワークの印刷用データ」 --@ssci
: 「The license may require that the design files are provided in fully-documented, open format(s).」→「'''ライセンスは、'''完全に文書化されたオープンなファイル形式で設計ファイルを提供するよう、'''強制してもかまわない。'''」 ここでの「fully-documented」は、この節の「documentation」とは全く関係の無い話です。そのため、あえて「文書化」などと、用語を変えたほうがいいと思います。 --@ssci


'''2. 範囲'''
'''2. 範囲'''


2. Scope
ハードウェアのドキュメンテーションは、その全体が公開されていないのであれば、ライセンスの下で公開されているのがどの部分なのかを明示しなければならない。
 
The documentation for the hardware must clearly specify what portion of the design, if not all, is being released under the license.
 
ハードウェアのドキュメンテーションは、もし全てでない場合には、設計のどの部分がライセンス下で公開されているかを明示しなければならない。


'''3. 必要なソフトウェア'''
'''3. 必要なソフトウェア'''


3. Necessary Software
ライセンスされた設計が、装置が適切に動作し必須の機能を発揮するのに、組み込みまたは他の形態のソフトウェアを必要とする場合には、以下の条件のいずれかを満たすことを、ライセンスが要求してもかまわない。
 
If the licensed design requires software, embedded or otherwise, to operate properly and fulfill its essential functions, then the license may require that one of the following conditions are met:
 
ライセンスされた設計が、適切に操作し基本的な機能を実行するのに、組み込みまたは別の方法でのソフトウェアを必要とする場合、ライセンスは以下の条件の1つに適合することを要請する。
 
a) The interfaces are sufficiently documented such that it could reasonably be considered straightforward to write open source software that allows the device to operate properly and fulfill its essential functions. For example, this may include the use of detailed signal timing diagrams or pseudocode to clearly illustrate the interface in operation.
 
a) 装置を適切に操作し基本的な機能を実行することのできるオープンソースソフトウェアを書くのが容易だと考えられる程度にインタフェースが十分にドキュメント化されている。例えば、詳細な信号のタイミング図や操作のインタフェースを明確に説明する疑似コードも含む。


b) The necessary software is released under an OSI-approved open source license.
a) 装置が適切に動作し必須の機能を発揮するために必要なオープンソース・ソフトウェアを容易に記述できると考えられる程度に、インタフェースが十分にドキュメント化されていること。このドキュメントとしては、詳細な信号のタイミング図や、操作のインタフェースを明確に説明する疑似コードなどが考えられる。


b) 必要なソフトウェアがOSIに認められたオープンソースライセンス下で公開されている。
b) 必要なソフトウェアがOSIに認められたオープンソース・ライセンス下で公開されていること。


'''4. 派生物'''
'''4. 派生物'''


4. Derived Works
ライセンスは改変と派生物を許可し、オリジナルと同じライセンスの下で頒布することを許可しなければならない。ライセンスは、設計ファイルからの製造・販売・頒布、設計ファイルから作られた製品の使用、設計ファイルそのものの使用、またはそれらの派生物の使用を許可しなければならない。
 
The license shall allow modifications and derived works, and shall allow them to be distributed under the same terms as the license of the original work. The license shall allow for the manufacture, sale, distribution, and use of products created from the design files, the design files themselves, and derivatives therof.
 
ライセンスは改変と派生物を許可し、オリジナルと同じライセンス下で配布することを許可する。ライセンスは、設計ファイルから作られた製品、設計ファイルそのものおよびそれらの派生物に対して、製造、販売、配布および利用を許可する。
'''5. 再配布の自由'''
 
5. Free redistribution


The license shall not restrict any party from selling or giving away the project documentation. The license shall not require a royalty or other fee for such sale. The license shall not require any royalty or fee related to the sale of derived works.
'''5. 再頒布の自由'''


ライセンスは、いかなる団体に対しても販売やプロジェクトのドキュメンテーションを無料で与えることを制限しない。ライセンスはそうした販売に対して使用料やその他の料金を要求しない。ライセンスは派生物の販売に関して使用料やその他の料金を要求しない。
ライセンスは、プロジェクトのドキュメンテーションを販売したり無償で頒布したりすることを、いかなる団体に対しても制限してはならない。ライセンスは、こうした販売に対して使用料やその他の料金を要求してはならない。ライセンスは、派生物の販売に関して使用料やその他の料金を要求してはならない。


'''6. 帰属'''
'''6. 帰属'''


6. Attribution
設計ファイル、製造した製品、あるいはそれらの派生物を頒布する際に、関連する文書ならびに装置に関連した著作権表示に、出典がライセンス者であることを含めるよう、ライセンスは要求してもかまわない。ライセンスは、装置を普通に使用するエンドユーザがこの情報にアクセスできることを要求してもかまわないが、その表示の具体的な形式を指定してはならない。ライセンスは、派生物がオリジナルの設計とは異なる名称やバージョン番号を持つよう要求してもかまわない。
 
The license may require derived documents, and copyright notices associated with devices, to provide attribution to the licensors when distributing design files, manufactured products, and/or derivatives thereof. The license may require that this information be accessible to the end-user using the device normally, but shall not specify a specific format of display. The license may require derived works to carry a different name or version number from the original design.
'''7. 個人または団体の差別の禁止'''
 
ライセンスは、設計ファイル、製造した製品、かつ/またはそれらの派生物を配布する際、ライセンサーへの帰属を提供するため、派生したドキュメントと装置に関連する著作権表示を要求する。ライセンスは、装置を利用するエンドユーザにとってこの情報がアクセス可能であることを要求するが、表示フォーマットは指定しない。ライセンスは、派生物に対してオリジナルの設計とは異なる名前やバージョン番号を持つことを要求する。
 
'''7. 人または団体の差別の禁止'''
 
7. No Discrimination Against Persons or Groups
 
The license must not discriminate against any person or group of persons.
 
ライセンスはいかなる個人または個人からなる団体に対しても差別してはならない。
 
'''8. No Discrimination Against Fields of Endeavor'''
 
8. No Discrimination Against Fields of Endeavor
 
The license must not restrict anyone from making use of the work (including manufactured hardware) in a specific field of endeavor. For example, it must not restrict the hardware from being used in a business, or from being used in nuclear research.
 
ライセンスは(製造されたハードウェアも含む)ものの利用を誰からも妨げてはならない。例えば、ハードウェアがビジネスで使われたり、核研究に用いられることを妨げてはならない。
 
: 「field of endeavor」が反映されていません。法律用語では「努力傾注分野」と訳すようですが…。 --@ssci
 
'''9. ライセンスの配布'''


9. Distribution of License
ライセンスは、いかなる個人または個人からなる団体に対しても区別なく適用される。


The rights granted by the license must apply to all to whom the work is redistributed without the need for execution of an additional license by those parties.
'''8. 活動分野に対する差別の禁止'''


ライセンスによって承認された権利は、追加のライセンスの実行を必要とすることなく、ものを再配布された全ての者に適用される。
ライセンスは(製造されたハードウェアも含む)製作物の特定の活動分野における利用を誰からも妨げてはならない。例えば、ハードウェアがビジネスで使われたり、核研究に用いられたりすることをも妨げてはならない。


'''10. ライセンスは特定の製品に固有のものではいけない'''
'''9. ライセンスの頒布'''


10. License Must Not Be Specific to a Product
ライセンスによって承認された権利は、追加のライセンスの実行を必要とすることなく、製作物を再頒布された全ての者に適用される。


The rights granted by the license must not depend on the licensed work being part of a particular product. If a portion is extracted from a work and used or distributed within the terms of the license, all parties to whom that work is redistributed should have the same rights as those that are granted for the original work.
'''10. ライセンスは特定の製品に固有のものではならない'''


ライセンスによって与えられる権利は、特定の製品の一部としてライセンスを受けたものに依存してはいけない。ものから一部分が抽出され、そのライセンス下で利用または配布された場合には、そのものを再配布した各当事者はオリジナルのものに与えられたのと同じ権利を持つ。
ライセンスによって与えられる権利は、特定の製品の一部としてライセンスを受けた製作物に依存してはならない。製作物から一部分が抽出され、そのライセンス下で利用または頒布された場合には、その製作物を再頒布した各当事者はオリジナルの製作物に与えられたものと同じ権利を持つべきである。


'''11. ライセンスは他のハードウェアまたはソフトウェアを制限しない'''
'''11. ライセンスは他のハードウェアまたはソフトウェアを制限しない'''


11. License Must Not Restrict Other Hardware or Software
ライセンスは、ライセンスされた製作物の集合体であっても派生物ではない製作物に対して制限を加えてはならない。例えば、ライセンスは、ライセンスされた製作物と共に販売されるハードウェアをオープンソース化することや、装置の外側で使用するものをオープンソース・ソフトウェアに限ることを主張してはならない。
 
The license must not place restrictions on other items that are aggregated with the licensed work but not derivative of it. For example, the license must not insist that all other hardware sold with the licensed item be open source, nor that only open source software be used external to the device.
 
ライセンスは、ライセンスされたものの集合体であっても派生物ではないものに対しては制限を加えてはいけない。例えば、ライセンスは、ライセンスされたものと共に販売されるハードウェアにオープンソース化すること、装置の外側で使用するのがオープンソースソフトウェアだけであることを強く主張してはいけない。


'''12. ライセンスはテクノロジーに中立でなければならない'''
'''12. ライセンスはテクノロジーに中立でなければならない'''
12. License Must Be Technology-Neutral
No provision of the license may be predicated on any individual technology, specific part or component, material, or style of interface or use thereof.


ライセンスの提供は、いかなる個別のテクノロジー、特定の構成部品、素材、インタフェースのスタイルやその利用が前提となってはならない。
ライセンスの提供は、いかなる個別のテクノロジー、特定の構成部品、素材、インタフェースのスタイルやその利用が前提となってはならない。
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'''後書き'''
'''後書き'''


Afterword
オープンソース・ハードウェア定義の署名者は、オープンソース運動が情報共有の方法の1つに過ぎないと認識する。この定義に当てはまるか否かに関わらず、あらゆる形のオープンな態度とコラボレーションを促進・支援する。
 
The signatories of this Open Source Hardware definition recognize that the open source movement represents only one way of sharing information. We encourage and support all forms of openness and collaboration, whether or not they fit this definition.
 
オープンソースハードウェア定義の署名者は、オープンソース運動が情報共有の方法の1つに過ぎないと認識する。この定義に当てはまるか否かに関わらず、あらゆる形のオープンな態度とコラボレーションを促進・支援する。


== ライセンスとハードウェア ==
== ライセンスとハードウェア ==


Licenses and Hardware
オープンソース・ハードウェアを推進するにあたり、設計者が選択したライセンスによってどの程度まで設計を統制できるかに関して、設計者を無意識に欺かないようにすることは重要である。合衆国、およびその他多くの国の法の下では、電子回路の設計に対しては、著作権は適用できない。特許は適用できる。その結果として、オープンソース・ハードウェア・ライセンスは一般的に「開発計画」を制限するのに用いることは可能だが、製造された装置やオリジナルの完全なコピーでない設計に対しては不可能と考えられる。合衆国著作権法における、該当する条文は17.102(b)であり、次のように述べている:
 
In promoting Open Hardware, it is important not to unintentionally deceive designers regarding the extent to which their licenses actually can control their designs. Under U.S. law, and law in many other places, copyright does not apply to electronic designs. Patents do. The result is that an Open Hardware license can in general be used to restrict the ''plans'' but probably ''not'' the manufactured devices or even restatements of the same design that are not textual copies of the original. The applicable section of copyright law is 17.102(b), which says:
 
オープンハードウェアに取り組むにあたり、ライセンスによってどの程度まで設計をコントロールできるかに関して、設計者を無意識に欺かないようにすることは重要である。合衆国、およびその他多くの法の元では、著作権は電子回路の設計に対しては適用しない。特許は適用する。その結果として、オープンハードウェアライセンスは一般的に「計画」を制限するのに用いることは可能だが、製造された装置やオリジナルの完全なコピーでない設計に対しては不可能である。著作権法の適用区域は17.102(b)であり、次のように述べている:
 
:''In no case does copyright protection for an original work of authorship extend to any idea, procedure, process, system, method of operation, concept, principle, or discovery, regardless of the form in which it is described, explained, illustrated, or embodied in such work.''


(この条文を日本語に翻訳するのが適当かどうかは要検討:あくまで参考訳として示す?)
:''いかなる場合にも、著作者が作成した創作的な著作物に対する著作権による保護は、着想、手順、プロセス、方式、操作方法、概念、原理または発見(これらが著作物において記述され、説明され、描写され、または収録される形式の如何を問わない)には及ばない。」(出典:著作権情報センター>外国著作権法>アメリカ編 http://www.cric.or.jp/gaikoku/america/america_c1a.html )''

Latest revision as of 02:10, 19 December 2011

翻訳:小林 茂(@kotobuki) 桑田喜隆(@morecat_lab) 小林 英男(@NetSynth) 金本 茂(@ssci) @weed_7777 中田 宗文(@munef

オープンソース・ハードウェア(OSHW)基準書1.0[edit]

オープンソース・ハードウェアは設計図が公開されたハードウェアであり、その設計図やそれに基づくハードウェアを誰もが学び、改変し、頒布し、製造し、そして販売できる。オープンソース・ハードウェアの元となる設計図は、変更を加えるのに適したファイル形式で入手することができる。理想的には、オープンソース・ハードウェアは、万人が作って利用する可能性を最大限にするため、容易に入手できる部品と材料、標準的な加工方法、オープンな基盤、制約のないコンテンツ、そしてオープンソースの設計ツールを使用することが望ましい。オープンソース・ハードウェアは、設計図のオープンな交換による知識の共有と商品化を奨励すると同時に、テクノロジーを統御する自由を人々に与える。

オープンソース・ハードウェア(OSHW)の定義1.0[edit]

OSHWのドラフト定義1.0はオープンソース・ソフトウェアのためのオープンソースの定義OSHWのドラフト定義0.5に基づく。この定義は、Bruce PerensとDebianの開発者がDebianフリーソフトウェアガイドラインとして作ったオープンソースの定義から派生したものである。以下の定義に関する議論を開始したOpening Hardwareワークショップのビデオとドキュメントはここで入手可能である。 定義に関する話し合いにはここで参加してほしい。

導入

オープンソース・ハードウェア(OSHW)は、誰もが作り、変更を加え、頒布し、利用できるように一般に対して設計図が公開されている、手に触れることのできる人工物——機械、装置またはその他の実体のあるもの——を表す語である。この定義は、オープンソース・ハードウェア用ライセンスの開発と評価のためのガイドラインを提供する助けになることを目的としている。

実体のあるものの構築には必ず実体のあるリソースが関係するという点においてハードウェアはソフトウェアとは異なる、ということに注意しなくてはならない。それ故に、OSHWライセンスに基づいて製作物("製品")を生産する個人や会社には、そうした製品がオリジナルの設計者によって製造、販売、保証あるいは認可されていると示唆するようなことを表示しない義務があり、さらに、オリジナルの設計者が所有する商標を使用しないようにする義務がある。

オープンソース・ハードウェアの頒布条件(以下「ライセンス」と記す)は以下の基準に従わなければならない:

1. ドキュメンテーション

ハードウェアは、設計ファイルを含んだドキュメンテーションと共に公開されていなければならず、設計ファイルの改変と頒布を認めなければならない。ドキュメンテーションが物理的な製品に付属していない場合には、妥当な再生産費未満でドキュメンテーションを入手できる公によく知られている手段がなければならない。インターネットからの課金なしのダウンロードが望ましい。ドキュメンテーションは、例えばCADソフトにとって最も自然なファイル形式のように、変更を加えるのに望ましい形式での設計ファイルを含んでいなければならない。コンパイル済みのコンピュータプログラムのような中間形式——例えばCADソフトが生成した、銅箔のアートワークの印刷用データ——は代替品としては認められない。ライセンスは、設計ファイルが、その仕様が完全に文書化されたオープンなファイル形式で提供されることを要求してもかまわない。

2. 範囲

ハードウェアのドキュメンテーションは、その全体が公開されていないのであれば、ライセンスの下で公開されているのがどの部分なのかを明示しなければならない。

3. 必要なソフトウェア

ライセンスされた設計が、装置が適切に動作し必須の機能を発揮するのに、組み込みまたは他の形態のソフトウェアを必要とする場合には、以下の条件のいずれかを満たすことを、ライセンスが要求してもかまわない。

a) 装置が適切に動作し必須の機能を発揮するために必要なオープンソース・ソフトウェアを容易に記述できると考えられる程度に、インタフェースが十分にドキュメント化されていること。このドキュメントとしては、詳細な信号のタイミング図や、操作のインタフェースを明確に説明する疑似コードなどが考えられる。

b) 必要なソフトウェアがOSIに認められたオープンソース・ライセンス下で公開されていること。

4. 派生物

ライセンスは改変と派生物を許可し、オリジナルと同じライセンスの下で頒布することを許可しなければならない。ライセンスは、設計ファイルからの製造・販売・頒布、設計ファイルから作られた製品の使用、設計ファイルそのものの使用、またはそれらの派生物の使用を許可しなければならない。

5. 再頒布の自由

ライセンスは、プロジェクトのドキュメンテーションを販売したり無償で頒布したりすることを、いかなる団体に対しても制限してはならない。ライセンスは、こうした販売に対して使用料やその他の料金を要求してはならない。ライセンスは、派生物の販売に関して使用料やその他の料金を要求してはならない。

6. 帰属

設計ファイル、製造した製品、あるいはそれらの派生物を頒布する際に、関連する文書ならびに装置に関連した著作権表示に、出典がライセンス者であることを含めるよう、ライセンスは要求してもかまわない。ライセンスは、装置を普通に使用するエンドユーザがこの情報にアクセスできることを要求してもかまわないが、その表示の具体的な形式を指定してはならない。ライセンスは、派生物がオリジナルの設計とは異なる名称やバージョン番号を持つよう要求してもかまわない。

7. 個人または団体の差別の禁止

ライセンスは、いかなる個人または個人からなる団体に対しても区別なく適用される。

8. 活動分野に対する差別の禁止

ライセンスは(製造されたハードウェアも含む)製作物の特定の活動分野における利用を誰からも妨げてはならない。例えば、ハードウェアがビジネスで使われたり、核研究に用いられたりすることをも妨げてはならない。

9. ライセンスの頒布

ライセンスによって承認された権利は、追加のライセンスの実行を必要とすることなく、製作物を再頒布された全ての者に適用される。

10. ライセンスは特定の製品に固有のものではならない

ライセンスによって与えられる権利は、特定の製品の一部としてライセンスを受けた製作物に依存してはならない。製作物から一部分が抽出され、そのライセンス下で利用または頒布された場合には、その製作物を再頒布した各当事者はオリジナルの製作物に与えられたものと同じ権利を持つべきである。

11. ライセンスは他のハードウェアまたはソフトウェアを制限しない

ライセンスは、ライセンスされた製作物の集合体であっても派生物ではない製作物に対して制限を加えてはならない。例えば、ライセンスは、ライセンスされた製作物と共に販売されるハードウェアをオープンソース化することや、装置の外側で使用するものをオープンソース・ソフトウェアに限ることを主張してはならない。

12. ライセンスはテクノロジーに中立でなければならない

ライセンスの提供は、いかなる個別のテクノロジー、特定の構成部品、素材、インタフェースのスタイルやその利用が前提となってはならない。

後書き

オープンソース・ハードウェア定義の署名者は、オープンソース運動が情報共有の方法の1つに過ぎないと認識する。この定義に当てはまるか否かに関わらず、あらゆる形のオープンな態度とコラボレーションを促進・支援する。

ライセンスとハードウェア[edit]

オープンソース・ハードウェアを推進するにあたり、設計者が選択したライセンスによってどの程度まで設計を統制できるかに関して、設計者を無意識に欺かないようにすることは重要である。合衆国、およびその他多くの国の法の下では、電子回路の設計に対しては、著作権は適用できない。特許は適用できる。その結果として、オープンソース・ハードウェア・ライセンスは一般的に「開発計画」を制限するのに用いることは可能だが、製造された装置やオリジナルの完全なコピーでない設計に対しては不可能と考えられる。合衆国著作権法における、該当する条文は17.102(b)であり、次のように述べている:

いかなる場合にも、著作者が作成した創作的な著作物に対する著作権による保護は、着想、手順、プロセス、方式、操作方法、概念、原理または発見(これらが著作物において記述され、説明され、描写され、または収録される形式の如何を問わない)には及ばない。」(出典:著作権情報センター>外国著作権法>アメリカ編 http://www.cric.or.jp/gaikoku/america/america_c1a.html